July 05, 2011

アシストからアトリビューションへ(3)


ニュースソースその1(SEM-LABO:間接効果のジレンマ)
ニュースソースその2(japan.internet.com:クリックの時代は終わった!? バナーのディスプレイ効果を検証する)
ニュースソースその3(Fringe81 Blog:ラストクリック評価は死ぬべき(とWPPの人が言ってる)

#長文三連投もここにフィナーレを迎えます。

さて、前回のPost

ここんところね。んでね、まだ明確に固まっているわけではないんだけれど、個人的には大きく分けて三種類のデータソースが必要になると思っています。

(1)広告配信側(Imps/Clicks)のデータ
(2)サイト内(Visitor、CVs、滞在時間、回遊率とか)のデータ
(3)態度変容を証明するデータ


なんて書いてます。そんで、この今回は(3)ってのを中心に考えてみましょう。

消費者が態度を変容した、ということを広告主側が把握するには、消費者自身が出している態度変容のシグナルが捕捉できなければいけません。
さて、問題はこの態度変容のシグナルってのは、どんなもんなんだろうか?ってことになります。

一つは前回の例でも出した、検索行為。
ユーザーが消費行動を行う際にインターネットで比較検討することはもう疑いようのない事実で、その中で検索行為は明確にユーザーの行動の意図が把握できる有効な手段の一つでしょう。

次に専門サイト。
前回の例でいうと@cosmeとかの専門情報が集中しているサイトへの訪問は、消費行動に近いセグメントされたユーザーの行動という意味で態度変容の把握の一助になると考えています。

最後に、Social。
。。。。。。。
あは。ごめん。ありきたりすぎるかもしれないけれど。やっぱりSocial。

以前USの友人数名と飯を食ってる時に、How to measure social campaignって話になったのです。USは日本の二年先、とはよく言われる話なので、USではどうなのさ?って話をしたところ、実はまだSocialの効果というか、成果の定義は明確じゃないのよね、っていう話になったことがあります。
最近さ、たまにフォロワー獲得しまっせ!的なDMとかあるけど(正直死ねって思うけど)、フォロワーを獲得すること自体には何の意味もないと思うわけよ。かといってTwitterからの売り上げが云々、ってのもちょいと違うと思うのな。TwitterなりFacebookなりで消費者がファンになってくれたとか、ファンになった後にどんな情報を発信しているのかってことが大事で、やっぱりSocialの目的って、それこそ態度変容なんだと思うんです。

ポイントになるのは、これらのシグナル自体が、すでにある一定の広告効果だ、ってことなんですね。
第一部でも引用したnoogle氏のPostをここでもう一回。
ネット広告を"態度変容課金"にしたいのです(Defining the Future)
態度変容「課金」なんです。課金ってのは成果に対する支払いなんですよ。クリックを成果にして支払うならクリック課金だし、コンバージョンならCPAってことなのな。Noogle氏の文章をそのまま引用すると

AIDMAであれAISASであれDAGMARであれいいのですが、ステップをもう少し細分化して、生活者が次のステップに進んだことを測定し、その間の行動を把握する。購入(acquisition)しなくとも、ブランド認識・ブランド想起・ブランド好意・購買検討っていうようなステップを。計算機の進化がこのまま続けば、これは検索ワードだけでなく訪問ページでも強固に把握できるようになります。

そうだ、そういうことだ。つまり態度変容のシグナル、ってのがすなわちある一定の効果、と考えるべきなんです。

んでこれはまた後半で述べるとして、ニュースソースにもあるFringe81さんのBlog。

まず、直接の引用じゃないけれど、"Why Last Click Should Die"という過激な論調の英文があるわけだが、今回はここから入ろう。

このWhy Last Click Should Dieに対する、sembearの端的な見解は

"お前、ばか?"

この一言に尽きます。

ラストクリックが死ぬべきかどうかなんて、そんなん、クライアントとかその商材とかキャンペーンの目的によるだろ。一概に言えるか。
#まあ、そういう意味では死なない、というのが俺の結論だが。

そこらへん、我らがゲバラ隊長はきちんと書かれていて

ここからは私の意見。実店舗のデータと連結すべきかどうか、ラストクリック評価は死すべきか、ということについては、「そこまで言わんでも。。。」と思います。ラストクリック評価でもまだまだ改善できるし。実店舗データも、広告主によっては、必要で必要ではない広告主もいるでしょう。

いや、その通りだと思いますよ、ゲバラ隊長!

#注:sembearはFringe81の田中さんとは直接の面識はありません
#が、常々BlogやTwitterでの発言を見ながら一方的なSympathyとRespectを感じております。
#それゆえ、当Blogでは敬意を表して「ゲバラ隊長」と呼ばせていただきます。
#問題があるようでしたらご連絡いただければ速やかに修正させていただきます。

前ページまでいろいろと書いてきましたがね、結局アトリビューションの評価・分析の手法ってのは

そんなん、クライアントとかその商材によるだろ。一概に言えるか。

ってことになるわけです。

クライアントによっては、やっぱりLast Click最重視(≒CPAとかROI重視)って人もいるだろうし、今はコストは度外視して認知度向上!なんてことを思う人もいるだろうし。会社のステージ、規模、商材、競合の状況などなど、さまざまなファクターにおいてそれは変わるんですよ。

なので、態度変容の話を抜きにして、Last Click Should Dieなんてぬかしてる人間は、だしを取ってないアメリカのインチキ和食の味噌汁を食べて、"Oh! Japanese Miso Soup Should Die"なんてぬかしてるおバカなアメリカ人となんら変わらんのです。

#いかん、脱線した。
#今回長文だらけなのに脱線してどうする。

つまりね、アトリビューションが大事だ、と言われつつもなかなか普及が難しい理由の一つに、今まで書いたようなデータソースの話がある一方で、そもそもAttribution Managementってのは基本的には完全にオーダーメイドだってのがあるんですよ。既製品じゃないわけだ。ある程度パターン化はできるかもしれないけれど、正直難しいとは思うよ。

#そうすると単純に既存のビジネススキームではそもそも取り組んだところでスケールしないとか、そういう問題も出てくるわけです。

んで、さらにゲバラ隊長は続けられます!

ただ、もっと話を単純化したほうがいいと思うのです。ようは「投資に対するリターン」の話なのです。金融の話だと分かりやすいでしょうか。100万円ありました。さあどこに投資しましょう。株?外貨?投資信託?ポートフォリオを組んで、それぞれのリターンを比較して、、、ってやりますよね。ではリターンが正確にわからなかったら?どうやってどの金融商品買うのでしょうか。

さて、ここで冒頭に述べた「態度変容課金」の話を思い出しましょう。
今回の最重要ポイントはここです。広告主の予算、つまり投資資金をどのように運用を行うか、その方法論は色々あるわけで、ラストクリックだってその投資の中ではどう考えても重要な役割を果たすだろうし、それぞれの態度変容も重要な役割を果たすでしょう。

つまり、態度変容のシグナルって、ここでいうところの

それぞれのリターンを比較して、、、ってやりますよね。ではリターンが正確にわからなかったら?どうやってどの金融商品買うのでしょうか。

ここのリターンとほぼ同義だととらえてます。

態度変容がわからないまま広告投資をしてはいけないのですよ。本来は。
もちろん、完全に消費者の態度変容を把握するなんてのはどんだけデータソースがそろってもはっきり言って無理だし、万が一そろったとしても正確なロジックを組み立てられるわけでもない。でもそれをわかろうとする努力を抜きにしてはいけないと思うのです。

もっと突っ込んでみよう。「態度変容を引き起こそうとして行った何か」が「狙った通りの態度変容を」「どれくらいの割合で発生させているのか」ってところを抜きにしたら、Last ClickだけでCVRとかCPAを最適化するような運用から先に進めないのですよ。逆説的に言えば、Cost Per AttentionとかCost Per Interestとか、そういう態度変容のシグナルごとに投資効果が視覚化できるってことが、Attributionの最終的な理想形になるはずなんです。

#あくまでCost Per AttentionとかCost Per Interestとかってのは比喩ね。
#イメージしやすいでしょ?実現方法はともかくね。

さて、ここまでお読みいただきありがとうございます。当Blog始まって以来の三部作。合計12000字以上、400字詰め原稿用紙30枚分にもわたる与太話にお付き合いいただいた皆様に心から御礼を申し上げます。

んでね、そろそろ締めますが。
ここまで読んでいただいた上で「こんなん、理想論だろ」とか「そもそも無理だろ」って思われた方もいらっしゃると思います。いや、俺自身そう思う部分も多々あります。

例えば代理店さんとか
「いや、sembearさん、うちらもそう思うけど、それにかかるコストを考えるとリターンが少ないんですよ」
っていう声も多分あるんだろうと思います。

ついでに言うと、自分がわかる限り、技術的な問題、商習慣的な問題、モラルの問題などなど、解決するべき問題も山ほどあります。それも踏まえたうえで、こんな夢想じみたことを出来るのか?とかやるべきなのか?という自問自答を繰り返しています。ただそれでも、今まで書いてきた態度変容の話が理想論としては正しい、ってのはみなさんある程度首肯してもらえると思うんですよ。

理想を見据えて、それに向かって突き進みつつ、かたやビジネスとしてバランスが取れるポイントを見出す。これsembear的仕事術の大原則ね。
だから、理想論だからやらない、っていうのは俺的にはありえないんです。つか、そういう選択肢をとり続ける限り、日本のネット企業は永遠にシリコンバレーに勝てないと思うんだ。

Yahoo!にせよGoogleにせよFacebookにせよ、「あるべき姿」を突き詰めて、新しいパラダイムを構築してきたわけじゃないですか。新しいパラダイムって、現状の常識とか枠組みで考えるとそもそも実現不可能だ、ってことになるんです。だって新しいんだもん。現状の常識とか枠組みで実現できることは別に新しいパラダイムではなくて、やって当たり前のことだと思うんです。
実現可能性って、現状の常識とか枠組みとかで測るのが一番安全だし、ビジネスをやる上でも楽なんだけど、そこに安住してたらイノベーションなんて起こせないと思ってるんです。なので今回は思いっきり理想論から入ってます。

さらに言うとAttribution Managementという概念は広告が投資となっていこうとしている現状で、完全に投資効果がまったくもって存在しない広告を明確にあぶりだすことが出来ます。今までなんちゃってインプレッション効果をうたっていたあの媒体とかなんちゃってロジックでもって枠を販売していたあの媒体なんかが、実は霊感商法のつぼ売りと変わらない、という事実を客観的なデータで持って証明できるんです。もう広告費用の半分は無駄であるとか言われたくないんだよ。おいら。

で、今回のまとめなんだけど、実は今回三部作で書いてきたようなことを、7/28に講演します。(おい、宣伝かよ!ってのはこの際ご勘弁を)

内容は、まあ単純に言うと弊社が新たに開発・導入した分析システム(というのが正しいのか?)と実験的プロジェクトの最初の(?)アウトプットです。詳細はアクセス解析イニシアチブのページをご参照いただければと思います。
実際のデータも出来る範囲でお見せしつつ、しかしアトリビューションの根源的な難しさ(これは上でちょろっと書いた部分ね)をもっと掘り下げてプレゼンテーションを行うつもりです。もしご都合がつくようでしたら、渋谷へぜひお越しください。
#参加はアクセス解析イニシアチブの有料会員の方のみとなります。

んで、最後に。

今回のタイトル「アシストからアトリビューションへ」ってのは
従来までの雰囲気ベースでしか視覚化できなかった広告同士の相関関係(=アシスト)から「態度変容」まで踏まえた形で因果関係を証明する(=アトリビューション)って意味です。

アシストをリリースした張本人としてはね、まあそういういこと。

Posted by sembear at 11:13 am | from category: Attribution Management
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