インハウスと代理店のいい関係

なんか前回のPostがちーとばかり説明不足だったかもしれぬ、と思い立ち続編です。
前回のポストはあくまでテクノロジーが代理店を駆逐することはない、ってことを言っただけで、もろもろの進化により代理店が変質することを否定しているわけではないのです。むしろそこんところは肯定派です。
ただし、本質論としてのMedia Buyingとテクノロジーの選定・目利き、もっとわかりやすく言うと媒体を「握る」とかテクノロジー事業者を「握る」っていうことができる代理店という事業が打ち出せる価値ってのは今後も残り続けるってことを言ってるのですね。
んで、大事なのはそれができない代理店さんってのはそもそも現状の代理店としての機能が劣っているって話なのでそもそもおいといていい話なんだろうよ、と。
そんな状況の会社は代理店同士の競争の中で淘汰されていく運命であって、そもそもインハウスとか関係ないわけですな。握る、っていう表現じゃなくてもいいんだけど、要はこのクライアントに対してどのテクノロジーとどのメディアを組み合わせて、どうやってインプリするといいのか、っていう部分での付加価値が存在しないのであればそこに代理店(もっと言っちゃえば仲介業者)が介在する価値なんてSEM黎明期の2003年から既に存在し得なかったわけなんで。
結局のところテクノロジーの進化がもたらしたことはBuyingでもBiddingでも、その作業自体ができれば広告の出稿ができるようになった、という事実(もちろんそれ以外にもあるけれど、ね)で、その前段階で言うプランニングの部分とそのプランニングをどういうワークフローに落とし込むか部分は相変わらず人間の知見が必要なわけです。そういう意味でその分野の「プロ」としての業態・職種は存在するだろうよ、ってことなのです。
インハウスでできるようになった部分はもちろん増えているわけだけど、そこが増えれば増えるほど(つまりインハウスでできることが増えれば増えるほど)本来代理店という業態ができることは増えて、高度化して、高付加価値になるはず、っていうのがちょっと見落とされがちじゃね?っていうことなんですね。大事なことなのでもう一度書くけど、インハウスでできることが増えれば増えるほど、代理店としての自分たちができることの価値が上がるっていうことがこれから先、結構大事なんだと思うのですよ。
で、問題なのは、それだけのことができるように代理店として機能しているときに、収益モデルが今のままでいいのか、ってのはまた別問題。
高付加価値、ってことは当然それなりのコストも時間もかかるってことになるので、今の収益モデル、収益構造のままでそう言った変質が達成されうるか、っていうのが個人的には気がかりなのです。
#とはいえ、SEMの運用一つですら2003年当時はペイしないと思われていた分野ではあるので、なんだかんだいってできちゃうのかもしれないのだけど。
#で、こういう分野に興味のある方はぜひご発注くださいな!ご発注じゃなくても打ち合わせ行きますよ!
というわけで久々に一日2本のPostでした。

テクノロジーと代理店の今後(と年末のご挨拶)

というわけで年内最後のポストになる予定。
えっとですね、いろんなところで講演とかセミナーとか満載の2013年後半でしたが、ちょっと改めて言っておきたいことがあるのでポストします。
よくいわれるのですよ、以下のような質問。
「sembearさん、テクノロジーが進化することによって代理店の運用ではなくインハウス化が進むと思うんですがどう思います?」
どちらかというとこれって代理店さん側からよく聞かれるのですけど、ポジショントークも減ったくれもなく答えは「No」です。
あのですね、テクノロジーが進化する=運用業務が楽になるってことじゃないんですよ。もっと言うとテクノロジーが進化する=誰でも運用ができるようになるってことでもないんです。
もちろん現状からは多少変わるかもしれないけど、それが代理店不要論になることはあり得ないと思ってます。
Search Summitでも言ったけれど、最終的にテクノロジーってのは人間の頭で考えるマーケティングの戦略(別に戦術でもよい)とかコンセプトが前提となってはじめて動くわけです。
ってのはロボットだから。あらかじめ何かしらの前提、キャンペーン構成だとかキーワードそのものだとかサイトそのものだとかっていうのがあって初めてその前提条件の中での最大化なり最適化を支援するものであって、それ以上じゃないのです。テクノロジーってのは。
でね、その前提条件の中で最もテクノロジーがどうしようもないところが実は二つあります。
ひとつ目がMedia Buyingですね。オペレーションとかアルゴリズムってのは前提としてのMedia Buyingがあって初めて成立する世界なのですよ。
っていうことを言うと、いやいや、だってMedia Buyingもテクノロジーで動くじゃん、とかProgramatic Media Buyingっていうのもあるじゃん、っていう人もいて、まあそれはそれで否定しないんだけどさ、ただ、テクノロジーからBuying(というか入稿ね)ができるリスティングとかリタゲとか、DSPでも、コンバージョンをゴールにした運用をする中で相互に影響を与えているっていうのは事実で、いつも例に出すコンバージョン重複問題ってのもその一例だけどね。
もちろんテクノロジーが進化をすることでインハウス運用者が管理画面上でBuyingができる、サーチもDSPもリタゲもすべてを俯瞰して運用するっていうことは理論上可能。ただし、それは前提として「それら以外は使わない」とか「管理画面経由以外の広告買い付けをしない」っていうレベルの最適化であって、媒体を握る、とか新しいものを取り入れる、とかっていうレベルで代理店にしかできないことっていうのが逆に増えてくるのですよ。
言い方を変えるとテクノロジーを導入すればいいのだ、というレベルで運用を語っている代理店さんはある意味つらいと思う。それって差別化要因にならないから。
二つ目が管理画面の裏側の部分。もちろん管理画面から把握できることっていうのはとてもリッチになったし、それだけで相当なレベルの意思決定ができるようにはなっているんだけど、ほんとのところ突き詰めると、やっぱり足りない。
テクノロジー(というかAd Technology Productって言った方がいいね)を使いこなすためには、その管理画面の裏側とかそれぞれのProductの仕様表では把握しきれない特徴とか、比較ができないとやっぱり難しいのです。
インハウスでのテクノロジーの活用ってどうしても管理画面とか、その使ってるプロダクトに依存する部分って出てきちゃうけど、本当にこのプロダクトでいいのか?とかそういう部分ってやっぱりいろんな会社と付き合いのある代理店でないと情報も入ってこないし、正直難しいと思うのですよ。それこそツール事業者を「握る」とかね、そういう部分も出てくるし。
冒頭の結論の部分とはあえて矛盾したことを書けば、インハウス化する広告主さんは増えると思います。ただ、代理店がそれを超えるValueが出せないかっていうと絶対にそんなことはない。
むしろテクノロジーが進化すればするほど、代理店という業種は必要性を増すはずなんですよ、っていうことは言っておきたいなあと思った次第です。
#まあ、その時の「代理店」ってのが今の在り方と同質かっていうとそれは違うかもしれないけどね
まあ、結論としては、そういう部分で自社のノウハウとかテクノロジーに対する理解を深めて、より一層の高みを目指そうという代理店さんは、ぜひ弊社のご発注ください!っていうことなんですけど。
で、2013年ももう年の瀬です。
sembear時代は年中無休ですが一応仕事納め的なものは12/27の金曜日を予定しています。年明けは1/6からの業務開始です。
それではみなさん、よいお年を!