開発プロデューサーというか商品開発というか事業開発というか

ニュースソース(広告システムのエンジニアが不足していることでイノベーションが加速できていない日本)
というわけでTwitterでも告知したとおり、書きましょうか。
元々sembearの生業はこの記事に書かれている
ここで重要なのは、次世代に必要とされる広告システムとはどんな広告システムなのかを考える開発プロデューサーです。いまの日本のインターネット広告市場では広告システムのエンジニアのなかでも、広告システムの開発プロデューサーがまったく足りておらず、1社に2名いれば多い方だ、という肌感があるくらい貴重な存在となっています。
この次世代に必要とされる広告システムとはどんな広告システムなのかを考える開発プロデューサーという職種に近い職種でした。なぜ「近い」という言葉で濁しているのかというと、sembear自信が広告システムのエンジニアではないからですね、はい。
でね、まず日本でイノベーションが加速できていない理由は広告システムのエンジニアが不足していることが理由ではないとsembear自身は思っています。単純にそれは動くお金(市場規模)の小ささが最大の問題だという認識です。
ここについては過去に書いたこの記事をお読みいただければ、と。もうちょっと細かく分析した記事もいつか書こうかな。
さて、開発プロデューサーが足りてない、というのは至極同感するところではありますが、ちょいとばかりsembearの私見をご紹介させていただければ幸いでございます。
そもそもね、広告商品ってのはそれ自身はイノベーションにはなりえません。その商品がどれだけのお金を生み出し、費用対効果を作り出し、もっといえば雇用を創出したのか、ということが広告商品による生産物であって、その結果としてイノベーションが起こる、ということになるはずです。だって、本当に新しく、Innovativeなものをリリースしても儲からなかったら意味無いジャン??つまり広告プロダクトを作る、ということだけではなく、いかにその広告商品を中心にしたecosystemを構築できるか、もっとはっきり言えば事業を作れるか否か、ということが最大のポイントです。
でこの「事業を作る」ってのは会社を作るわけでもなく、商品を作るわけでもありません。まず事業のアイデアがあり、その結果として必要であれば商品を作る(開発する)、ってことになります。
事業を作るときに必要になるのは、市場の問題点、成長領域、顧客のニーズなど(全部でも一部でも)さまざまな情報を集約して、課題を解決するものとはなにか?今あるソリューションをさらに改善するものは何か?ってのを発見する力になります。もっと単純化していえば「これ儲かるんじゃね?」というアイデアです。
たとえばアメリカ市場をつぶさに分析して、これを日本で出せば儲かるかもしれない、という形でプロダクトを作るってのも確かにそのひとつ。タイムマシン経営ってのと同じかな?
あとは顧客の苦情とか不満を徹底的に分析してそれらを解決するソリューションを作り出すのもそのひとつ。カイゼンですね。
んで世界市場を見渡してまだ誰も世に出してない商品を思いつき、更なる市場調査を突き進めて、成長戦略を描ききって、世に物を出す、っていうのもそのひとつです。
でね、上に書いたような事業の開発は別にエンジニア出身だろうが営業出身だろうが、経理出身だろうが人事出身だろうが、誰でもできることなんですよ。常に自分のビジネス領域にアンテナを張っていれば、実施するかどうかはともかくアイデアぐらいは普通思いついてるものだと思います。ただ問題は日々の仕事ってのはそれでも存在するので、新しいことをやろうと思うとついつい後回しになっちゃうってこと。だって別に新しい事業なんて無くても仕事はあるから特に問題はないじゃん?
ただ、自分のアイデアがあって、これをやらねば!と思い立ちさえすれば同僚とお話しするなり、ソーシャルでつながってみるなりすることでぐんとビジネスの可能性が高まる世の中になっているのもまた事実なのです。つまり、別に自分の専門領域がどこだろうと、それを補う人たちとつながることはぜんぜん簡単なことなのですよ。
(レゾナント/クロスリスティング時代の自分の振る舞いとか見てればまさしくそんな感じでしょ?)
ただ、日本だとなかなかその「新しいこと」をやる人が育たないってのも現実としてあって、その最大の理由は「新しいことをやる」職種が日本では未確立だということに尽きると考えています。確かに新しいことは誰だって思いつくものだけれど(それが成功するか否かはおいておこう)、今の仕事を差し置いて新しいことに手をつけるのはなかなか難しいわけですよ。目の前の仕事も大事だからね。
これがアメリカだとかになると、その分野のエキスパートが職種として存在しています。いわゆるProduct Manager(この場合Product Marketingでも可)ってやつ。正直日本のネット広告会社でProduct Managerという職種がある会社ってどれくらいの割合だろうか??つまり会社の中で何を作るべきかってのを決める職種にアサインされている人たちはどれくらいなのだろうか?ってのがたぶん開発プロデューサーが足りないって議論とSyncするはず。
ちなみにこの職種の人たちはコードは書かないはず。かつ営業にも行かないはず。市場調査とかマクロ要因/ミクロ要因の分析とか、P/Lとかマーケティング立案とかチャネル開発とかやってたらそんな時間とれないっすよ。
なので開発プロデューサーに必要な要件ってのはたぶん以下になるんだと思う
(1)営業もしくは開発、もしくはマーケのずば抜けた知識と実績とコネクション
(2)(1)のBackgroundがありながら関係する他部署と密な連携ができるだけの知識(特に営業⇔開発)
(3)海外の情報をほぼリアルタイムで理解できる英語力
少なくともこれらは必須だろうと思うよ。そうじゃないと何かを作るって時に軸はぶれるし、仕様は固まらんし、ってことになっちゃうからね。
というわけでネット広告のキャリアパスとして開発プロデューサーなりProduct Managerなりってのは花形って言われるような世の中になってほしいと常に願っているsembearなのでした。

【告知】Kenshooを使ったアトリビューション分析についてのセミナー

という訳でやりますよ。
<追記:会場&日程情報です!!!>
会場:メディカルリソース様会議室
http://www.medical-res.co.jp/
日程:2012年10月25日、午後3時スタート
当日のガイダンスは出席者の方のみにメールでご連絡いたします。

お題はKenshooを使ったアトリビューション分析ってことで、こんな人たちが対象です。
(1)Kenshooを導入しているんだけど、もっと高度に分析とかしてみたい人
(2)アトリビューションに興味はあるんだけど、どこから手を付けていいのかわからない人
(3)「自動入札ツール」なんてどれでも一緒でしょ、って思ってる人
(4)sembearを個人的に好きな人(女子に限る)
(5)sembearを個人的にRespectしている人(男女問わず)
内容は
(1)Kenshooの会社紹介
(2)KenshooのDemo
(3)Kenshooで出来るアトリビューション分析
(4)Case Study
時期ですが10月25日の午後を予定しております。場所はこれから探します。
無料で場所を貸してくれる人がいたらsembearからきっと素敵なプレゼントがあります。
時間は質疑応答含めて90分程度です。
ちょっと追記をします
(1)会場はメディカルリソース様のご厚意により会場をおかりいたしました。ありがとうございます。本当にありがとうございます!!!!
(2)Kenshooとは??
いきなりセミナーやると言ってもちょっと訝しげなので、簡単に弊社のご紹介をさせていただきます。
Keshooとはイスラエルで創設された、インターネット広告の管理運用プラットフォームです。
リスティング広告からFacebook広告まで、基本的にはCPC型広告の分析から運用にかけては世界でもトップクラスの結果とシェアを持っております。
sembearを採用してアジア太平洋地域の営業統括にしてしまうあたり、かなり無茶なチャレンジをしてしまう会社です。
内容はリスティング広告におけるアトリビューションを中心に、どのように費用対効果を最大化するのか、というテーマにて行う予定です。
現在のところ10名程度の参加希望をいただきました。まだ空席がありますので受付は来週の金曜日(10月12日)まで受け付けさせていただきます。
参加希望の方はTwitterのDM、FacebookのDM、ないしはこたろ。はるた@kenshoo.comまでメールください。
kotaro.haruta、ね。
sembear

SocialAdを見直した三つの理由

おお、久しぶりにSocialの話題を書くなあ。
あのですね、いきなり謝罪なんですが、おれ自身実はSocialの広告(ここではFacebook adのことを指します)についてかなり懐疑的だったんです。そもそもObjectiveがはっきりしないし、広告商品としての位置づけも微妙だなあとか、正直言って中途半端な広告だなあとか思っていたのですよ。
ってのは、FacebookAdに関していえば、確かに年代とか性別とか興味とかもろもろ細かいSegmentationでもって、かつCPC課金での広告配信ができるんで、ともするとDirect Response(コンバージョン獲得)の広告として取り扱われがちなんだけど、そもそもSEMとちがって「今まさに興味があるか」ってところでの配信はできないので、どー考えたってCVRとかCPAとかの話になったらSEMにはかなわないし。かといってBrandingだとかというには表示される場所が微妙だし、そもそもFacebookの中だけだしね。
ってなことがあって、おれ自身Socialの広告に関してはかなり懐疑的だったんだけど、ここ数ヶ月いろいろな人と話したりいろいろな事例を見るにつけ、その考えを改めることになったわけです。すげえよ、Facebook広告すごすぎるよ。今まで懐疑的でごめんなさいごめんなさい。
というわけでsembearがFacebookAdの価値を見直した三つの理由をご紹介したいと思います。というか世間一般で言われていることなので目新しいことは何もないんだけど、まあ個人的な備忘録としても、ね。
理由その1:CRMとの親和性の高さ
Socialっていわゆる「つながり」なのですよ。つまり広告主と消費者を「継続的に」つなげる手法なんですね。SEMとかだとCRM云々の前に刈り取りでの重要性が際立ったりするけれど、すでに顧客になっている人をよりMarketedしていくことも、当然マーケティングでは重要だったりするわけです。そういう意味で検索なんかよりもSocialのほうが圧倒的にCRMとの親和性は高いし、すでに顧客になっている人をよりMarketedしていくうえではすごく重要な要素だったりします。
理由その2:ソーシャルで得られるデータそのものの重要性
たとえば、どの商品がどの年齢層にどれくらい響いているのか?どれくらいバイラルが広がったのか?というあたりのデータがまるっとfacebookのレポートから出力されます。実はこれが結構強力。正直バカにしていたけれど、結構使えるデータ。
実際のところこのBlogも実はFacebook広告使っているんだけど、世の中に思ったほどリスティング女子がいないってことも含めて勉強になったりしてます。
理由その3:そこらじゅうにクリックが存在する
たぶん一番重要なのはここじゃないかな?別にクライアントを限定する話じゃないんだけど、FacebookAdがコンバージョンにいたるまでのプロセスでそこらじゅうに出てくるんですよ。いわゆるコンバージョンファネルの上のほう(Introducer)とか真ん中(Promoter)とか下のほう(Closer)とか。その存在が複雑怪奇すぎて正直今まで評価はしにくかったんだけど、Attribution的な考え方をしていくと、この役割がいかに重要で、かつ厳密に評価するべきかがわかります。
でね、それらをまとめると、FacebookAdが果たしている役割って、今までは刈り取りだとかなんだとか言われていたDirect Responseの領域をCRMの領域につなげる力を持っていることだと思うんですね。つまり最初の刈り取りをした後に、消費者のLTVを最大化するための広告手法、とでもいうべきなのかな?
実際にそういう考え方でもって、一消費者あたりの売り上げをSEMとSocialをあわせて最大化しているクライアントもいるし、これはこれですごい分析と最適化だなあと思ったりするわけです。
で、大事なことは、それらを実現するにはきちんとした効果測定と分析が必要ってことになるので、リスティング男子はもちろんだけどSocialAD男子も、やっぱりKenshooを使わないとモテないよ、ってことなんですな。
sembear

Isolated Japan

今回はSEMとは直接関係ないけどね。
えっとですね。まあ、まだ転職して2ヶ月ちょいなので、ここに書いたこの意見は今後変わることもあるのですが、まずは2ヶ月ということを踏まえて、昨今気になってることを書いてしまおうと思っているわけです。
んで、タイトル。まずは高校とかで世界史を勉強した人はSplendid Isolation(栄光ある孤立)って言葉、聴いたことあるんじゃないかな?1902年に当時の大英帝国が日本と日英同盟を結ぶまでのしばらくの間、このSplendid Isolationっていう状況だったのですよ。詳しくはリンク先参照のこと。
で、日本の外に出て日本のSEMとかネット広告業界を見ることになり、一番最初に思いついた言葉がこのIsolated Japan、直訳すると「孤立した日本」とでも訳したほうがいいのだろうかね。とにかく日本は孤立しているってのが今日までの印象。
ただし、孤立って言ったって、別に諸外国から嫌われているとか、そういう意味ではなくて、日本が余りに独自の文化圏、経済圏であるがゆえに、孤立した存在として際立っている、という意味です。そういう意味で言うと「ガラパゴス」という言葉が大変しっくり来る。別にいいとか悪いとかという話ではなく、純粋にこう見えてますよ、って言うことね。
たとえばどの辺がIsolatedなのかというと、まず日本語以外でのビジネス展開がほぼ不可能に近いってこと。つまり日本以外のAPAC諸国、そりゃオーストラリアとかシンガポールなんてのは英語が公用語なんだけど、それ以外の国でも基本的に仕事は英語が標準語です。それはタイだろうとベトナムだろうと中国だろうと英語。そりゃもちろん現地の言葉を話せればもっとビジネスがスムーズに進むとは思うけれど、別になくてもそんなに困らない。日本においては自分が日本人なので別に困らないことなんだけど、まずこの点がほかの国と比べてまったく異なる点。
次に(実は上に書いたことに関連しているのだけど)アメリカの企業の影響力が薄いというところ。日本以外の国のネット広告って、原則的にはアメリカの広告代理店の傘下(ないしは影響下)におかれていて、原則としてその影響下にある広告予算が全体の広告予算の半分以上を占めるというイメージ。日本でも当然外資系企業はあるし、それなりに多くの予算を投下しているんだけれど、それでも半分以上は占めないんじゃないかな。つまり他の国ではかなりの部分でアメリカ本社のTop downによる意思決定ですべてが決まっていることが多いわけです。
最後に、日本独自のプレイヤーとそのプレイヤーによる意思の明確さ。日本の場合それぞれのプレイヤーがそれぞれの意思を持ち、それぞれの存在意義を発揮しているんだけれど、他の国だと良くも悪くもプレイヤー同士の近接領域における役割分担があいまいで、そこにプレイヤーとしての意思があまり感じられない。日本はきちんとしている、というか必要以上に細かい、というか、それはとり方しだいで何とでもいえるんだけど、日本以外の国には良くも悪くも「曖昧さ」が確かにあると思う。これはAPACの中における日本の特異性かな??
まあ、上に書いたあたりが、日本が世界的に見て独特のポジションになってしまう理由なのかなあと思っております。USのお偉いさんとかオーストラリアの同僚とかにここら辺を理解してもらうってことが大事だったりするわけですね。