日本はSEM後進国なのか否かの考察(3)

前回の続き
(1)アメリカの広告主のCVRの高さ
(2)アメリカの広告主の許容できるCPA上限の高さ(ROASの低さ、と言い換えてもよい)

これらがなんで「根本的かつ根源的な日本とアメリカとの差異」につながるのか、ということがまだまだ疑問を持たれているのではないかと思っています。でもこれがね、やっぱり根源的な問題なんですわ、ってことで第三章に続きます。

ってことを踏まえて、前回の内容をもう少し数字として落とし込んでみましょう。
仮にCVRが平均して3倍高くて、許容できるCPAが2倍高い場合、理論上上限のCPCは6倍高くなりえます。つまり媒体から見ると、1クリックあたりの売上が6倍違うわけですね。仮にカバレッジ(検索回数に対してリスティング広告が表示された割合)とCTR(インプレッションベースではなくQueryベース)が同じになると、媒体の売り上げは6倍違うわけです。いや、これはでかいですよ。仮にCVRが5倍、CPAが3倍高いとなると理論上のCPCは15倍も違うわけだ。もう次元が違うわけです。
#実際にCPCが6倍とか15倍も違うってことはない。そこまでの差はない。
#ただしに前回の補足でも書いたようにCTRも米国の方が高い、という現実もあるので
#検索一回当たりの売り上げについて、歴然たる格差は存在する。
つまりね、アメリカのSEM業界というのはそもそも広告主の経営的・経済的体力が圧倒的に高いという前提があり、検索ユーザーのリテラシーの高さも相まって、媒体(つまりGoogleのことだ)としては非常に収益性が高くさらなる改善・投資も可能になり、その結果市場としてのSEMは非常に大きなものになっているわけです。ちょっと嫌味な言い方になるかもしれないけれど、媒体として巨大になれば、効果測定ツールとかSEMコンサルティングファームとかも比例して大きくなっていくわけです。それがいわゆるecosystemってやつ。
で、そうなってくると
(1)当然人も集まります
(2)各分野のエキスパートが生まれます
(3)シリコンバレーがそこに油を注ぐとInnovationが生まれます。
つまりね、異論反論もちろんあると思うけれど、特に検索分野においてGoogleがInnovationの中心だってのはもう紛れもない事実なんだけど、仮にアメリカにおいて、今までに書いたような検索ユーザーのリテラシーの問題とか広告主の粗利幅の問題とかがないという状況下だったら、Googleが今のような成長を無しえたのか、っていうと個人的にはちょっと疑問なわけです。もっと誤解を恐れずに書いてしまえば、Googleが日本にあったら今のような成長はあったのか?ってことね。
#ま、そうだとしてもなにか別の成長のDriverをGoogleは見つけたと思うけどね
#よくある「日本からGoogleみたいな会社が出てこない理由」とかっていう記事も
#こういう観点から見ると結構感慨深いものがある。
で、話を戻しましょう。仮にInnovationが起こったとしても、それが実践で活用されることがないとビジネス的なインパクトはないわけです。ところが、粗利的・経済的なな意味での体力が高い広告主が多い市場は、そういうInnovationに対して実験的な取り組みをかなり早い段階から進めることができるし、かつ早い段階でもそれなりの数の広告主が取り組むことができるってことなんですよ。となると当然改善スピードも速いし、ビジネス的な成功までの時間も短い。
で、これらの部分はは、実は前回書いた
このBlogを読んでくれているモテモテで困っているリスティング男女は、アメリカと比較するとそもそもCVRが低くてCPAの許容幅が低いクライアントの効果改善を頑張ってるわけですよ。つまりアメリカのリスティング男女が陸上競技場で100m走の記録を測定しているのに対して、足場の悪い砂浜かつ向かい風の中で100m走の記録を測定しているようなもんですね。仮に横で照英とか松岡修三が横で応援してくれているとしても、すでに条件面として不利なんですよ。なので、リスティング運用のテクニックとか、分析とか、そういうノウハウ面で言えば日本のリスティング男女がアメリカよりも劣っているってことは絶対にない。
この部分に関連してきます。
つまりね、前回も書いたように確かにノウハウ面で言えば日本のリスティング男女が欧米のそれと比べて劣ってるってことはない。さらに原則として主たるInnovationがアメリカ発だという部分や日本語の言語特性、CPAの条件面とかを鑑みてみれば、日本で一流と言われているリスティング男女のノウハウや広告運用は米国のリスティング男女と比べて優れている部分の方が多いと思う。
ただ、日本のリスティング「業界」が欧米のそれと比較してそれだけ人を惹きつける魅力があるのか?そこで働いている人の専門性は?かつ日本発のInnovationって?(いや、あるにはあるんだよ)って考えると、実は「産業」として日本のSEMはアメリカと比較すると「後進国」と言わざるを得ない部分もあるわけです。もちろん日本で一流と言われている人たちは素晴らしいけれど、残念ながらその人数は米国の方が圧倒的に多い。悔しいし、認めたくないけれど、これはある種の事実だと思う。
#つか俺自身Innovationを推進していくべき立ち位置でSEMに絡んでいるはず
#なのでこれは自分に対する強烈な反省でもあります。はい。
#実はリスティング男子がモテる、ってのはこの事実を打破したいがための一つのテーマではある
#9割ギャグだが
さらに続こう、これは必ずしもSEMだけで発生する現象ではなく原則としてはターゲティング型広告全体において発生する現象なんですね。となるとだな、SEMに限らない周辺領域、領域同士の関連性(アトリビューションとかその例だね)の成長とか進展なんかも全然米国の方が早かったりするわけです。そうなると生態系の違いとか文化の違い、とかもろもろあるんだけど、ある特定の文脈においてアメリカと比べて日本が遅れている、という表現自体は間違いじゃないと思ってます。ただそれは日本とアメリカのSEMにおけるレベル差ではなくて、それはもう産業そのものの構造とか検索ユーザーのリテラシーとか、もうSEMだとかリスティング広告だとかという次元を超えた部分の違いだと思うんですね。
で、唐突ですが、実は4月にAdTech San Franciscoに行ってきます。sembearがたまに海外のカンファレンスにいっていろいろ調べてくるのか、という理由は実は今までに書いてきたようなところに原因があります。
ってのは、アメリカの市場、文化などを前提にしている広告プラットフォームとかビジネスモデルって日本にガンガン輸入されているわけですね。で、今までに書いたような差異とかマクロの視点を抜きにプラットフォームとかビジネスモデル、Ecosystemに取り組んだりすると、そりゃずっこけたりもするわけですよ。だって前提が違うんだもん。
そういうマクロの視点での違いを踏まえたうえで米国がどういう方向性に動いているのか、日本の市場性や文化を踏まえると、日本にどういう影響があるのか、アメリカで発生した現象、事象は同様に日本でも発生するのか、ってのを分析する上では、こういう機会がないとなかなか考えがまとめられなかったりするわけです。
つまりあれね、むやみやたらに米国のモデルをそのまま輸入したところでうまくいかないケースって多々あるわけよ。そういう時って大体今までに書いたような(それ以外にもたくさんある)ビジネスの背景の違いを理解していないことに理由があることの方が多いなと思ってるわけです。
というわけでサンフランシスコに行かれる方、現地で遊びましょう。
sembear

日本はSEM後進国なのか否かの考察(2の補足)

んとね、(3)もすでに書き終わってるんだけど、今回のシリーズ、いかんせんキャッチーさが足りてないので、せめて最後を飾る第三章ぐらいもうちょっと推敲したいのです。なんか焦らしプレーで申し訳ありませんが、今しばらくお待ちください。
で、今回は今までのPostに対していくつかTwitter経由でコメントを頂いているので、そちらを紹介しながら若干の補足Postを先に書くことにしました。
まずは@yukimeru0305さんと@seo_muraさんから頂いたコメント
@yukimeru0305さん
日本人の場合、別にWEBで買わなくても車や電車で移動して買い物できる人がほとんどなので、WEBで買う必要性も低いのかもしれませんね。
@seo_muraさん
リアル店舗との物理的距離や大陸間の時差とかをここであげると余計カオスになっちゃうのかしら。根源的問題の続きが気になる…
コメントありがとうございます!いわゆるClick and Mortar(クリック&モルタル)の話に近いですね。いわゆるネットで調べてリアル店舗で購買する、という消費行動が日本の方が割合として高いのか否か、というのは大変興味深い議論だと思っています。まあ正直検証のしようが(今のところは)ない部分もあるので、ある程度仮説の議論にはなりますが。で、このポイントと今回の記事の話ではいくつかの観点からの検証が必要だと思っていて、まだそれができてません。
いくつかの検証というのは
(1)EC以外のカテゴリのクライアントにおけるCVRの差異をどうとらえるか?
(2)米国におけるLocal Targetingの市場規模をどうとらえるか?
(3)日本における「地方」での状況はどうなのか?
大別するとこの3件ですね。
まずは(1)から。
ECカテゴリに限定して考えた場合、仮に日本のほうがClick and Mortarが普及しているという仮説が正しいとした場合、確かに日本の方がCVRが低くなる傾向になるとは思います。しかしながら、CVRの差異はECに限定せずに発生している現象でした(ここは過去形)。ですので、自分とSajalの議論の中ではClick and MortarがこのCVRの格差に直接つながる、という仮説を排除していました。確かにECにおいてこの傾向は顕著ではあったのでより深堀しなきゃなあと思いながらも結局検証できずに終わった、っていうのが現実です。
次に(2)。
もしも、日本の方がClick and Mortarが普及している、としたら、リスティング広告の地域ターゲティングの設定率を見たときに日本と米国で日本の方が高い、ないしは同じぐらいになるはずだと思うんですね。ってのは原則として地域ターゲティングってある商圏限定で広告を配信する機能なんで、Click and Mortarと親和性高いはずだなあ、と。ただ、自分が知りうる限りそういう状況は起こってないのですわ。(まあOVの地域ターゲティングだとそもそも不十分だった、ってのもあると思うけど。日本だともうちょっときめ細かに設定できないとあんまり意味がない)
かつYelpとかの成長を考えると、むしろ米国の方が日本と比較してClick and Mortarが普及しているんじゃないか、という仮説もありうるとか思っていたり、思っていなかったり。
まあ日本にも食べログとかあるからなんとも言えない部分だけど。
最後に(3)。
自分の実家とかに数年ぶりに帰ると、もう店とか結構ないんですよ。そりゃアメリカの荒野の一軒家ってほどひどくはないけれど、それでもこの町でClick and Mortarが成立するのかっていうと、ちょっとそれは厳しいなって思うぐらい町が寂れているわけです。実際問題、確か都道府県単位で人口が増加しているのって東京都とごく一部の首都圏だけだったと思うんだけど、Click and Mortarっていわゆる都市圏じゃないと成立しないと思ってるんですね。自分の興味がある商品とかサービスがあって、それをどこで入手するかっていうときに、そもそも入手できる場所(店舗)とかが一つだけだとClick and Mortar以前にそのお店に行って話をした方が早いじゃん、的なね。まあ、そもそもそのお店を探すための検索行為ってのもあるとは思うけど。
という三つの観点からここでは議論に含めないでおりました。でも検証が必要なテーマだとは思っています。
#ヨーロッパとかどうなんだろうか。ここら辺。
次に@tetsuokobayashiさんからのコメント。コメント二ついただきました!ありがとうございます!
まず一つ目
リス男じゃないのでデータ細かく見てないけど感覚的に同意。そもそもCTRレベルでさえ日米差があるよね
いや、そうなんすよ!実はCTRも全く違います。今回この部分を入れようかどうか悩んだのですが、議論が拡散しそうなのでちょっと割愛した部分ではあり、ご指摘いただいて実はちょっとウヒヒって思ってました。
いわゆるネットユーザーのリテラシー、もっと誤解を恐れずに言えば検索リテラシーと広告に対するとらえ方の違いがここからも見える部分だと思っています。実は自分もSajalもCVRが高いだけでリテラシーが高い、って結論づけたわけでもなく、CTRもCVRも高いってことは米国のネットユーザー、検索ユーザーの方が広告への抵抗感もなく、かつネットでの購買(必ずしも金銭の授受を伴わないけど)にたいして適応力が高い、という仮説を作ったのは事実です。
#一流のリスティング男子であればここからもう一つ、CTRをあげるクリエイティブでも運用上ある程度維持できている、
#ってことの推測がつくと思うのだけれど、つまりそういうこと。それが上限CPAの話ともつながってくるし。
もう一個@tetsuokobayashiさんからのコメント
じゃあUSのツールをそのまま使えば良かったのでは、という話にはなかなかならない言語と情報の壁
これはどちらかというと第一章のPostに対するコメントでしょうか。
まあ、でもそうなんですよ。USのツールをそのまま使おうとした2003年とか2004年当時のリスティング男子だったのが自分です。
で、言語と情報の壁も確かにあったのですが、実はそれ以外の問題もありました。というのは日本の広告主はツールにお金を払ってまでネット広告をメンテしようとは思わない、という現実が2004年とかはすごくあったのです。2003年とか2004年とかって、そもそも効果を測定しましょう、っていう部分すら理解してもらえなかった時代でもあったりするので、そういう効果測定系とか運用系のツールに対して広告予算とは別にお金を支払う、っていう文化そのものが存在しなかった、と言ってもいいのかもしれません。
今はだいぶ変わってきたとは思いつつも、まあこの部分は2004年当時では日本の方が「遅れていた」部分ではありますね。
#ここに関しては異論、反論わんさかあると思います
#ただまあ、一つの見方として、ってことね。
とまあ、補足Postの割には結構なボリュームになってるけれど、ここまでの記事を見てもアメリカと日本が同じ時間軸の中で進んでるとか遅れてるとか言っちゃだめだよね、ってことはご理解いただけたかな、とは思っていたりしてるので、このシリーズを書いた目的の半分は達成したかなあとは思ってます。
さて、第三章も近日中にPostしますよ。

日本はSEM後進国なのか否かの考察(2)

前回の続き
さて、前回意味深に書いた
実はすごく根本的かつ根源的な日本とアメリカとの差異があると思っているわけです。
この部分ですが、さっそく答えから書いてしまいましょう。
(1)アメリカの広告主のCVRの高さ
(2)アメリカの広告主の許容できるCPA上限の高さ(ROASの低さ、と言い換えてもよい)

オーバーチュアにいたころ、広告主向けソリューション(コンバージョンがらみとかもろもろ)を担当していた時に、Overtureの歴史上自分が最高の天才だと思っていたSajalというインド人とデータを突き合わせながらもろもろ議論をしていました。議論の中身で言うと、いわゆるコンバージョン率が高まるようなマッチングだとか機能だとかを順次日本でもLaunchしていけば、長期的にはOverture Japanとしても継続的な成長ができるはずだよね、っていうことなんだけど。その議論の中で俺が袋小路にはまってしまったある事実があります。
業種別とかで見てみると一目瞭然なんだけど、たとえばECとかだとアメリカの広告主のCVRは日本の広告主のそれと比べて大体5倍ぐらい高い。EC以外で比較ができる業種とかでも大体3倍ぐらい違う。もちろんCVの定義とかもろもろきちんと調べて、大幅に差異が出そうな部分を考慮に入れてもまあそれぐらい。で、俺とSajalの間での長い長い議論の結果、この現象の一つの原因として日本のオンラインでの購買活動、もっというとネットユーザーのリテラシーの違い、と解釈するべきではなかろうかという結論に達しました。もちろんそれ以外の要因もあると思うし、この結論が間違いだという可能性も否定しないけれど、少なくともオンラインで何か決裁をする上での抵抗感とかクレジットカードの普及、決済額の比較を見ても、このリテラシーの差異がCVRに対して無影響だ、ってのも言えないと思うのね。
んで、一部の広告主のヒアリングデータをみて愕然としたのは(2)のポイント。許容できるCPAが日本と比べてやはり2倍から3倍ほど違うわけです。勘のいいリス男女なあなたはは(2)のポイントについて「LTVを加味しているのかの違いじゃね?」って思ったりするかもしれないし、もちろんそれもあるんだけど、自分が知ってる限り日本においてLTV含めてCPAを設定しているクライアントと同業態のアメリカのクライアントを比較してもやっぱり2倍近く違う。こうなってくると、つまり一商品を売り上げた際の粗利の額が違う、と判断せざるを得ないわけですよ。つまり企業としての体力の問題ね。
#ただこの話は2008年当時の話でもあるので現在は状況が異なっている可能性が高いので要注意
で、前回のPostのポイントを見てほしいわけです。
(1)広告主の取り組み度合い
(2)自動化とかツールとか
この二つのポイントって実は今回書いた差異が一番効果的に作用する部分だと思ってるんですね。
というのは広告主の観点からしてみたら、
→リスティング広告の掲載はじめたぞ(゚Д゚)ゴルァ!
→掲載はじめるとそれなりに普通にしていてもコンバージョンが発生するそ(゚Д゚)ゴルァ!
→粗利率もいいからCPC上げられるぞ(゚Д゚)ゴルァ!
→またある程度CV稼げるぞ(゚Д゚)ゴルァ!
→商品の発送とかで時間が無くなるぞ(゚Д゚)ゴルァ!
→ツール代を払ってもペイできるぞ(゚Д゚)ゴルァ!
→じゃツール使うぞ(゚Д゚)ゴルァ!
→したがって(以下略(゚Д゚)ゴルァ!
っていうサイクルですね。あ、最後の(゚Д゚)ゴルァ!いらなかった。まあいいや。
つまりアメリカの市場環境ってのはある程度素人であってもリスティング広告ってのは結果が出やすくて、かつ問題点を改善すると目に見えて結果もよくなりやすい、かつ自動化も進めやすい環境だった、ってことなわけです。
#これはAdExchangeとかAudience Targetingとかでも同じことが言える
で、振り返って日本。
このBlogを読んでくれているモテモテで困っているリスティング男女は、アメリカと比較するとそもそもCVRが低くてCPAの許容幅が低いクライアントの効果改善を頑張ってるわけですよ。つまりアメリカのリスティング男女が陸上競技場で100m走の記録を測定しているのに対して、足場の悪い砂浜かつ向かい風の中で100m走の記録を測定しているようなもんですね。仮に照英とか松岡修三が横で応援してくれているとしても、すでに条件面として不利なんですよ。なので、リスティング運用のテクニックとか、分析とか、そういうノウハウ面で言えば日本のリスティング男女がアメリカよりも劣っているってことは絶対にない。
むしろ去年のSESで思ったのは、Accelerator Trackで「俺SEMのエキスパートっす」見たいな人が語っていることが、正直微妙だったんですね。おいおい、そんなの常識だろ、と。そんなん日本でも山ほど実践してる人いるんだぜ、とか思うわけですよ。
#そういう意味で、去年のSESには正直がっかりしたところも多かった。
#かといってがっかりしただけで終わらないからこの問題は根が深い。
んで、勘がいい人は気づいているかもしれないけれど、今回書いた二つのポイント
(1)アメリカの広告主のCVRの高さ
(2)アメリカの広告主の許容できるCPA上限の高さ(ROASの低さ、と言い換えてもよい)

これらがなんで「根本的かつ根源的な日本とアメリカとの差異」につながるのか、ということがまだまだ疑問を持たれているのではないかと思っています。でもこれがね、やっぱり根源的な問題なんですわ、ってことで第三章に続きます。
#現在のアメリカの広告主と日本の広告主のCVRとか許容できるCPAとか、
#できればY!とかGにいる人は米国と連絡とってリサーチしてみてほしい。
#俺が知っていた2008年当時と比べてどういう変化があったのか、正直気になるし。

日本はSEM後進国なのか否かの考察(1)

さて、いつか書こうと思っていてそろそろ考えもまとまってきたので書いてみるよ。
#今回はあえてSEMに限った書き方にしてます
#つまり言外の意としてSEMに限った話ではないってのがあるってことだ。
この業界でもはや慣用句のように言われている言葉があります。例えば「日本はアメリカの2-3年遅れ」とか「SEM先進国アメリカでは」とかそういうやつ。
でね、ここ数年個人的にこの言葉に強烈な違和感というか、なんとも言えない居心地の悪さを持っていたわけです。
っていうのも、この慣用句について「正しい」と思う部分と「間違ってる」と思う部分の差異が際立ちすぎて、その状況をうまく言語化できていない違和感とでもいうのか、まあなんかもやもやしていたわけですよ。
でやっと最近そこら辺の感覚がまとまってきたので、今回やっと「言語化」してみようと思い立ったわけですな。
で、まずはアメリカのSEMが日本より進んでいる、と感じる理由から書いてみましょう。
(1)広告主の取り組み度合い
アメリカが進んでいる、と断言できる一つ目のポイントは、広告主自身の知識、知見、経験、取り組みのレベルです。もちろん日本でも広告主さん自身でがりがりと取り組んでいるケースが多々ありますが、そういうのって概して大手クライアントだったりするじゃないですか?アメリカの場合、たとえば実際にあった話だけどニュージャージー州の片田舎でワインセラーを営んでいるおじさんが、SESに来て自分で勉強して、SEMを実践したりしてるわけですな。
#実はそのおじさんの娘さんが大学で日本文化を専攻していたとのことで
#危うくお見合いさせられそうになったのはここだけの秘密だ
まあ、このBlogを読む人なら知ってると思うけど、SESってフルパス(全てのセッション参加可能なパス)だけで$2000とかするんですよ。日本において、それだけのお金を払ってそういう町の一店主レベルの人がどれくらいの割合でSEMをがっつり勉強しようとするだろうか、ってことですね。もちろん日本にもそういう人はいるんだけど、全体の割合で行ったときに、SESとかだとそういう人たちが結構な割合(感覚値だけどね)で存在するわけです。そういう意味でこの部分は「アメリカの方が進んでる」部分だと思うわけだ。
(2)自動化とかツールとか
で、これは(1)と関連してくる部分なんだけど、そういう個人商店な人たちは普段の仕事の片手間にSEMやったりしているので、どうしてもある程度ツールを利用しないといけなくなるわけです。だってお店でお客さんの対応している間に入札なんてできないじゃん。
俺が昔アイレップにいたころにEverest Technology(現Efficient Frontier)の人と偶然喫煙所であってからというものいろんな話を聞くんだけど、そもそも自動入札ツールってそういう人たち向けに始まったものらしいんですな。
そこから代理店向けになったりとか、超大口広告主向けとか各種の進化を遂げていった、と。
それこそOld Schoolな人ならわかると思うけど、昔Keyword MaxとかGoToastとかも日本からクレジットカードで登録できたじゃん?つまりそういう自動入札ツールって、そもそもオンラインから申し込むような広告主(≒小口広告主)向けから始まっていたわけですよ。
今日本でもAdEbisなり、L2Mixierなり、代理店さんの独自ツールなりが存在するけれど、そもそもツールとして進化してきた背景が違うわけです。なので多くの広告主がリスティングの自動化を行っている、という意味でアメリカが進んでいる、という言い方をしちゃうけど、これはそもそも進んでいるとかっていう物差しで測っていいものではないんだろうなあ、とは思う。
ただ、事実として自動化を多くのクライアントが実践している、って意味で「進んで」いるのは事実だってことにしておきましょう。じゃないと第二章につながらないから。
で、以上の部分がアメリカの方が「進んでいる」部分だと思ってる、ってことはつまり上以外の部分、運用のノウハウだとか最適化に向けた分析だとかもろもろは決して日本の方が遅れてるとは思ってません。2008年ぐらいまではまだアメリカの方が進んでいるような気もしていたけれど、去年のSESとか見てて思ったけれど、日本のノウハウ部分がアメリカよりも遅れているということはないと思う。
でね、実は今回、ここからが本題なんです。(1)と(2)がなぜ日本ではそうなってないのか?って疑問に思いません?文化違いとか、商習慣の違いとか、もろもろ事情はあるんだけど、実はすごく根本的かつ根源的な日本とアメリカとの差異があると思っているわけです。かつ、日本のノウハウが遅れていない、っていう部分も実はちょっと解説が必要だとも思っています。
というわけで今回も複数回に分けて日本とアメリカの比較論を書いていこうと思います。多分三部作予定。