Yahoo! Japan、検索エンジンと検索連動型広告のプラットフォームとしてGoogleを採用

ニュースソース1(Google公式)
ニュースソース2(Yahoo!リスティング公式)
ニュースソース3(ITMedia)
ニュースソース4(ITMediaからY!J井上さんのコメント)
Yahoo! JapanのPR(PDF)
さて、考えようか。
まず基本的な提携内容のおさらい。上のニュースソースを洗いざらい読むと
・契約期間は2年でさらに両社ともに2年の延長のオプション付
・導入範囲はWeb検索、画像、動画、モバイルの4エリア
・Yahoo! JapanはGoogleよりオーガニック検索と検索連動型広告における基礎技術の供与を受ける
・オーガニック検索に関してはフロントエンド部分はYahoo! Japanのコントロール下となる
・検索連動型広告に関してはキーワードのマーケットプレイスを完全に別個に分ける(つまりAdWordsをOEM提供する)
まあわかりやすくまとめるならば、今までアメリカのYahoo!が提供してくれていたものがGoogle提供になりましたよ、ってことですな。
まあ、ことはそんなに単純じゃないですが。。。。
さて、今回の判断の上でもっとも重要だった部分は「なんでGoogleだったのか」って事よりも「なんでBingじゃないのか」ってこと。
twitter界隈で言われている様なユーザビリティーの点は確かに大きな理由だとは思うけれど、それが唯一全ての理由だとは思えないのです。
というのは、自分もいまだにそれなりの情報筋を国内外に持っていて、逐一情報は収集していたのですが、Panamaからadcenterへのmigration(移行)はかなり難しそうだと言う話はわりと前々から出ていた話ではあるわけです。でもそれは反面、Migrationの話自体が最初からなされていないというわけではないということなんですね。つまりMigrationを検討していたからこそ、難易度が高いってこともわかっていたわけです。
ただ、その反面、日本でAdCenterの動きがどーにもこーにも見えてこない状況でもあったわけですね。リリースする気があるのか?というぐらい情報が出てこないし、そういう動きをしているようにも(少なくとも外部からは)見えてこない。
どんなに広告主を移行する段取りを考えたって、移行する先の箱が日本で全く実績のない広告配信プラットフォームだってのは、四半期ごとの売り上げが株価に直結する上場企業じゃなくても、そりゃリスクもありすぎでしょう。米Yahoo!から強力なBack upがあったPanamaへの移行ですら大変だったのに、日本で実績がないうえでMigrationに関してもそこまで強力なBack upもない状況ではAdCenterの採用は少なくとも日本でAdCenterが実績を残してから、という判断がされたのかなという気もしています。
#とはいっても各種情報を鑑みるにAdCenter説が一番可能性が高いと思っていたのだけど
さて、この理由から「AdCenterを採用しない」という判断をしたとして、それがすなわちBingを採用しない、ってことにはならないわけですが、逆にAdCenter以外にPanamaと同等レベルの収益性をもたらしてくれる検索連動型広告のPlatformってのはどこなんだい?ってことを考えると、消去法的にGoogle AdWordsしかない、ともいえるわけですね。
あのね、そりゃ暴論もたまには書かせてもらえれば、Y!Jとしてはオーガニック検索の適合性も重要なんだけど、それはあくまでユーザーが満足するかどうかって話であって、極端な話(本当に極端な話だが)、出来が悪いといわれていたBingを採用しても、ユーザーが不満を抱えながらも離反しなければそれでいいわけです。でも売り上げはそうはいかないのです。AdCenterを採用して1検索あたりの売り上げが半分になろうものなら株価は暴落するし経営的にも問題だしね。
だからと言ってYahoo!版Google AdWordsに対して、今のPanamaの広告主をどう移行するのか?(ひょっとしたらしないのか?)っていう問題は明確に存在していて、そこらへんの判断はどうされていくのか、今後の大きな課題でしょうね。
まあ移行の課題と実働の課題の両方があったAdCenterに比べれば実働部分の課題が少ない分まだ楽なんだろうけれど。
さて、直近の部分の分析はそれぐらいにして、ちょっと問題点を洗い出してみましょう。
もちろん当Blog的な視点からになってしまいますが。
もっとも大きな部分は、Yahoo!リスティングにGoogle Japanがどれだけ関与するのか、ってことです。
まあ、ノータッチってことはないとは思うけれど、でも同一のプロダクトを持つ競合関係の二社なので、どうやって共闘と反目のバランスを維持するのか、ってところが一番大きな疑問。
最終的には米Google側がプラットフォームを抑えているとはいえ、日本最大の検索ボリュームをもつYahoo! JapanにGoogle Japanと競合する商品を渡すってのはいささか(感情論も込めて)微妙な気はします。
ぶっちゃけて言えば今回のOEM提供で、アメリカのGoogleは売上あがるけど、日本のGoogleはどーなってもいいよ、って見えてしまうのですよ。極端な話、日本のGoogleはこれでつぶれてしまっても結構、的なね。
なんか、言葉は悪いが敵対し合っている国家同士に武器を売りつけている死の商人的な感じというか。
まあ、最終的にはちゃんとそこらへんの線引きなんかもやるには違いないけれど。なんていうんだろ、本来ピュアに戦ってしのぎを削ってきた二社が、最終的にはアメリカ最大手の検索企業の集金マシーンにしかならない寂しさみたいなものを感じます。
逆にいえば日本のGoogleにはそうならないよう、アメリカのGoogleやY!Jと適度な距離感をとりつつ頑張ってほしいとも思います。日本のGoogleだからこそできる独自のサービスとか展開を切に期待します。
あと、今回の提携には検索に連動しない広告のインタレストマッチ(以下IM)が含まれていません。ただ、Yahoo! Japan以外のIM提携パートナー側からするとIMと検索連動のプラットフォームが別個で運用されることはマイナスになれどもプラスになることはないので、そういう意味でIMのシェアがどうなるのかってのも正直気になる。
(まあ別個のシステムだったのはPanamaでも一緒のことだけどね)
あとはまあ、いろいろと細かい部分で何か疑問に思うところはあるのですが、最後に。
これでひとつの日本の検索エンジン史上の区切りにはなると思います。
ただ、今回の決定は日本という国家国民にとっては多分よくないことなんだと思います。
ってのは何より検索の多様性がこれでほぼ日本では壊滅的に無くなるわけです(まあドイツなんかもっとひどいけど)。
変な例えだけど、車が好きな人がいて、世の中で売っている車がある日からロゴだけ違って中身は全部一緒になります!って言ったらがっかりするでしょ?
フェラーリもHONDAも日産もフォルクスワーゲンも、実はロゴが違うだけで全部TOYOTA製でした、みたいなさ。
つまり今回の提携はそんなことなんですよね。
100人いたら言葉の使い方や考え、同じキーワードでも探しているものが違ったりする検索の世界で、多様性が失われて情報の一極化が進むってのはやっぱりあんまり良いことじゃないんですよ。
俺自身普通にGoogleしか使わないし、嫁さんはYahoo! Japanしか使わないのだけれど、そういうすみわけが無くなる世界ってのはやっぱり良くないかと。
#あ、別にがっかりしていたりとか残念がっているわけではありません。
#これが25才だったら茫然としていたかもしれないけれど、流石に32にもなればそこら辺は大人になってるんで。
そういう意味で、早く皆さんにいろんなものを届けられるよう、日々頑張ることにします。